常識ではいけない
著者: | 応用言語学者・教育心理学者 |
世の中には、一般の人の持っている常識とは全く異なる事情を持つものが少なくありません。英語教育もその一つです。
一般に英語ができる、できないは、例えば、努力が不足している事などを理由に挙げたりする場合が少なくありません。また、学校の英語ができないのは、文法ができないからで、そのためには、文法の問題を解く練習が必要だとか。また、英語が話せないのは、文法中心の学習が原因であるとか。しかし、これらの「常識」は、その真偽は別として、実際には、何らかのデータの裏付けがあって言われているわけではありません。つまり、単なる印象的見解や思い込みに過ぎないのです。本当に何が正しく、何が迷信かは、科学的な研究によらねばなりません。応用言語学という学問は、その様なことを目的にした学問です。
応用言語学は過去25年ほどの間に長足の進歩を遂げてきました。今では、外国語の学習・教育には、知能、性格、記憶のメカニズム、言語理解のメカニズム、感情、大脳の仕組み、学習者の社会経済的地位、学習の動機の種類等々、様々な要因が関わっている事が明らかになってきています。それらには、当然、「常識」とは全く異なる発見も沢山あります。
同じ時間数の授業を受けながら、また、同じ時間数自分で学習しながら、ある生徒は何万語もの単語を楽々習得し、文法も完璧に覚え、かつ全く外人のように話せるようになるのに、別の生徒は500か600の単語しか覚えられず、文法もほとんど習得できず、しかも全く話せないというのは、外国語のクラスでは普通に見られる現象です。しかし、よく考えれば、極めて不思議な現象です。この様な現象がなぜ起こるのか、そして、どうしたらみんなが外国語を完璧にマスターできるようになるのか、そういう問題に科学的なアプローチで臨み、その成果を教育の現場に生かすこと。それが応用言語学の目的です。ソフィア外語学院が、他の外国語学校と著しく違う点は、そうした科学的研究の成果を全く妥協することなく教育現場で実践していることです。本学院では、学校や他の外国語学校などとは、やっていることが著しく異なることがあるかと思いますが、それは常識をくつがえした科学的な知見に基づくものなのです。
いかなる分野であっても、成功の鍵は、多くの場合、一般の常識とはかけ離れたところにあるものです。英語の場合も、その点、全く変わらないのです。